細胞膜の構造

生物学

細胞膜とは?

細胞膜とは、細胞を取り巻いている膜のことです。

細胞の内外で物質を運んだり、放出したりするときに通ります。

細胞膜は脂質二重層という二層構造になっており、コレステロールや、物質を輸送するためのタンパク質や糖鎖が存在しています。

脂質二重層とは?

細胞膜を拡大すると、画像のような脂質二重層と呼ばれる断面が見えます。

脂質二重層は対になったリン脂質が連なって構成されます。

リン脂質は親水性である頭部(画像の円部分)と、疎水性である尾部(画像の長方形部分)からなります。

細胞の外側には細胞外液が、細胞の内側には細胞内液が存在するため、それらに接する細胞膜の面は親水性になっています。

一方細胞膜の内部は疎水性になっているため、水が自由に通過することができなくなっています。

このようにして、細胞内外の物質の流入や流出を物理的に制御することで、細胞内の構造や機能を維持する働きを持っています。

酸素や二酸化炭素といった気体分子は小さいため、細胞膜を通過することができます。

一方で糖やアミノ酸、イオンなどの大きい分子は自由に通過することができません。
これらの分子は、細胞膜内に埋まっているタンパク質の働きによって通過することができます。

受動輸送と能動輸送

細胞膜にあるタンパク質にはいくつかの種類があり、それぞれ特定の物質のみを通過させる働きを持ちます。この性質を選択的透過性といいます。

この物質の輸送は受動輸送能動輸送の2種類に分けられます。

この違いは輸送前の濃度勾配に従うかどうかです。

受動輸送とは

受動輸送は、物質が濃度勾配や電位勾配などの自然な力によって細胞膜を通じて移動するプロセスです。この輸送はエネルギーを必要とせず、物質の濃度勾配に従って自発的に行われます。

従って、受動輸送によって濃度の差が緩和されることになります。

具体的には拡散浸透がこの現象にあたります。

日常生活では…

拡散は、水の中に食塩を入れて放置すると徐々に食塩が水全体に広がっていく様子で見られます。

浸透は、刺身に食塩をかけることで水分が抜けておいしくなる現象で見られます。

能動輸送とは

能動輸送は、物質が濃度勾配や電位勾配に逆らって細胞膜を通じて移動するプロセスであり、
エネルギーを必要とします。

従って、能動輸送によって濃度の差は拡大することになります。

膜タンパク質の種類

細胞膜に存在するタンパク質は膜タンパク質と呼ばれ、これらは細胞膜の間を自由に動いています。この様子を流動モザイクモデルと呼びます。

膜タンパク質には主に以下の種類があります。

輸送タンパク質受容体タンパク質細胞接着タンパク質の3つです。

輸送タンパク質とは

輸送タンパク質とは、物質を細胞内や細胞外へ輸送するタンパク質で、主に以下の3つに分けられます。

イオンチャネルポンプ輸送担体(キャリアタンパク質)の3つです。

チャネルとは

チャネルとは、水分子や特定のイオンを通すトンネルのようなものです。

何らかの刺激や電気信号によって開閉し、通路ができます。

そのためチャネルはエネルギーを使用せず、濃度勾配に従ってイオンが移動することになります。

このためチャネルは受動輸送を行います。

受動輸送のため、濃度の差は縮まっていきます。

また、水分子のチャネルのことをアクアポリンと呼ぶことがあります。

チャネルによる膜電位の仕組みについては、こちらのページで詳しく解説しています!

ポンプとは

ポンプは、特定のイオンをくみ上げるものです。

エネルギーを使用して、濃度勾配に逆らってイオンを移動させます。

このためポンプは能動輸送を行います。

能動輸送のため、濃度の差は拡大していきます。

ポンプによる膜電位の仕組みについては、こちらのページで詳しく解説しています!

輸送担体(キャリアタンパク質)とは

輸送単体は、一度物質と結合し、細胞膜をまたいだ後に物質を放すことで輸送します。

グルコースの輸送担体はよく出てくるので、覚えておきましょう!

輸送担体は、輸送する物質の種類によって受動輸送のケースと能動輸送のケースがあります。

ちなみにグルコースの輸送担体は受動輸送です。

受容体タンパク質とは

受容体タンパク質とは、外部からのシグナルを認識し、細胞内への信号伝達を開始するタンパク質です。

ホルモン神経伝達物質、成長因子などはシグナルと呼ばれ、特定の反応を引き起こす因子です。

これらのシグナルは細胞膜にある受容体に結合することで細胞に認識され、信号になって特定の働きをします。

シグナルを鍵に例えると、受容体は鍵穴になります。

シグナルの受容についてはこちらで詳しく解説しています!

細胞接着タンパク質とは

細胞接着タンパク質とは、たくさんある細胞同士をくっつける働きをするタンパク質です。

細胞の接着には主に三種類あります。

密着結合(タイトジャンクション)、デスモソームギャップ結合の3つです。

細胞接着について詳しくはこちら

まとめ

  • 細胞膜は脂質二重層の構造をしている
  • エネルギーを必要とする能動輸送と、濃度勾配に従う受動輸送がある
  • 細胞膜には輸送を担うチャネルやポンプなどのタンパク質がある
  • シグナル分子を受容するタンパク質や、細胞接着に関わるタンパク質がある

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