浸透圧とは?

生理学・生化学

浸透圧とは?

浸透圧とは、溶媒が半透膜を通って浸透するときの圧力のことを言います。

浸透圧の考え方は、生理学や生化学を学ぶ上での基礎中の基礎の内容になるので、まずはここから理解することが大事です。

以下で詳しく解説します。

拡散

そもそも物質は、常に濃度が高いところから低いところへ移動しようとする性質があります。つまり、高濃度の場所から低濃度の場所へ移動して濃度の差を緩和するということです。

人間だって、満員電車に乗っているときに隣の車両がすいていたら、隣の車両に移動したくなりますよね。やがてほかの人も移動し始め、混雑具合が均等になったら移動しなくなります。

この移動のことを拡散といいます。この時エネルギーを消費しないため、受動輸送と呼ばれることもあります。

受動輸送と能動輸送について詳しくはこちら

浸透圧

上のイラストのように、管を半透膜で区切った場合を考えます。

半透膜とは、セロハンのようなイメージで、小さな孔が開いています。この孔は小さいため、水分子は通過することができますが大きいイオンやタンパク質は通過することができません。

半透膜の左側にはを、右側には食塩水を入れます。

すると、拡散を起こそうとして食塩(正確にはナトリウムイオンや水酸化物イオン)が左に移動しようとしますが、半透膜のせいで移動できません。

そこで半透膜を通過できる水分子が左から右に移動することで、濃度の差を緩和しようとします。その結果右側の液体の体積が大きくなっています!

この時の、水が透過しようとする圧力浸透圧といいます。

(正確にはこの浸透を押さえつけるために必要な圧力として定義されていますが、生理学や生化学を学ぶ上では上記の理解で良いです。)

それでは、なぜこの浸透圧の考え方が生理学や生化学を学ぶ上で重要なのか

それは、細胞膜や血管が半透膜のような構造をしているからです!

つまり、細胞の内外や血管の内外で濃度の差があると、液体成分(水)が移動してしまうのです。

細胞膜の構造について詳しくはこちら

低張・等張・高張

低張とは、水の浸透が起こりにくい状態のことを指します。

等張とは、水の正味の移動が起こらない状態です。

そして高張は、水の浸透が起こりやすい状態のことです。

と教科書等には書いてありますが…

要するに低張は濃度が低く、等張は濃度が同じで、高張は濃度が高い状態であると押さえていいです!

低張

赤血球を低張液に浸すと、その液は赤血球内部よりも濃度が低いという意味になります。

この時水は外部から内部へ浸透するため、赤血球がどんどん膨れていきます。

そしてやがて破裂してしまいます。このような病態を溶血といいます。

等張

赤血球を等張液に浸すと、その液は赤血球内部と濃度が同じなので水の正味の移動はありません
(実際は常に水は出入りしているため、水の移動が一切起こらないというわけではないです。水が出る速さと入る速さが同じであるため、正味の移動はなく、体積が変化しないというわけです。)

高張

赤血球を高張液に浸すと、その液は赤血球内部よりも濃度が高いという意味になります。

この時水は内部から外部へ浸透するため、しぼんでしまいます。

やがて水分を失い、細胞は死んでしまいます。

本来の低張・等張・高張という表現は水を浸透によって吸収させたり失わせたりする能力で定義されています。そのため上記の教科書の記述になるわけです。

しかしそれは濃度の差と捉えても同じことなので、わかりやすい方で覚えてください!

まとめ

  • 浸透圧とは、溶媒が半透膜を通って浸透するときの圧力のことである。
  • 物質は濃度の差を緩和する方向に浸透する
  • 血管や細胞膜は半透膜構造のため、浸透が起こることで体積が変化することがある

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