染色体とは?有性生殖とは?

生物学

ヒトの遺伝

ヒトは親から子へ、遺伝が起こります。
これによって親の目元が子の目元に似ていたり、親がかかった病気に子もかかったり…
このように親から子へ形質が伝えられるのが遺伝です。

ここではどのような仕組みで遺伝が起こるのかを見ていきます。

有性生殖と無性生殖

生物の生殖(子孫を作る行為)には有性生殖無性生殖という2種類があります。

有性生殖とは?

有性生殖は、2つの親からの遺伝情報の組み合わせによって新たな個体が生成される繁殖方法です。親の遺伝情報は、配偶子(卵子と精子)を介して受け継がれ、受精によって新たな個体が形成されます。

つまり新たな子孫を作るために、親が2つ(ヒトだと父と母、動物だと雄と雌 など)必要な生殖が有性生殖です。

もちろんヒトは有性生殖をおこないます。

よって有性生殖を行う場合は、2つの親の両方の遺伝情報が子に伝達されることになります。
これによって親の形質を引き継ぎつつも、親と全く同じ形質にはならないため、遺伝的な多様性も生じることになります。

無性生殖とは

無性生殖は、1つの親のみによって新たな個体が生成される繁殖方法です。無性生殖では、親の遺伝情報が完全に受け継がれるため、遺伝的多様性はほとんど生じません。

例えば、アメーバは親となる個体が分裂し、そのまま親と子に分かれます。

こうしてできる子孫には、親のゲノムがそのまま100%引き継がれることになります。
そのため無性生殖によってできる子はクローンとして親と全く同じ個体になります。

無性生殖には繁殖の速度や効率を向上させることができるというメリットもあります。

染色体とは?

ヒトの遺伝情報をまとめてゲノムといいますが、ゲノムは染色体というものに含まれています。
ヒトの遺伝情報はDNAの塩基配列そのものです。
DNAはヒストンというタンパク質に巻き付いて、ヌクレオソームと呼ばれる状態になります。ヌクレオソーム同士はつながっていて、そのヌクレオソームの集合をクロマチンと呼びます。
そしてクロマチンが集まったものが染色体です。

単純化すると、染色体というものの中に遺伝子が詰まっているというイメージです。

よく「ヒトの染色体46本ある」ということを聞いたことがあると思いますが、「どの形をした染色体が46本あるのか」を勘違いしている人が非常に多いです。

これを読めば染色体についてはっきりと理解できますので、ひとつひとつ抑えていきましょう!

凝集時の染色体

上の画像は凝集時のヒトの染色体を表しています。「i字」の形をした1本1本が染色体です。

ヒトには1~22と書かれた22種類の染色体があります。これらは常染色体と呼ばれます。
画像を見るとわかるように、1種類の染色体につき2本あります。
よって常染色体は22種類が2本ずつで44本あります。

そしてX、Yと書かれた染色体があります。これは性染色体と呼ばれ、性別を決めるものです。
男性はX染色体とY染色体を1本ずつ(XY)、女性はX染色体を2本(XX)持っています。

従って、ヒトは常染色体22種類×2本ずつ=44本と、性染色体2本で合計46本の染色体をもちます。

相同染色体

46本の染色体で、同じ形をした染色体が2本ずつあるのはなぜでしょうか。
これのペアになった染色体は相同染色体と呼ばれます。

先ほどの画像のように、相同染色体どうしは長さやセントロメア(くびれ部分)の位置などの性質が全く同じです。
相同染色体は、同じ遺伝情報をもちます。例えばある染色体に目元の形を決める遺伝子が含まれていたとすると、その相同染色体にも目元の形を決める遺伝子が含まれています。

ヒトが23セットの相同染色体をもつのは、ヒトが有性生殖を行うためです。
ヒトは父親と母親の両方から遺伝子を受け継ぎます。
相同染色体のうち片方が父親由来で、もう片方が母親由来であるということです。

染色体の組数はnの係数で表されます。
ヒトは2組の相同染色体をもつので「2n」となります。
またヒトは46本の染色体をもつので「2n=46」と表します。

ヒトのように2組の染色体を持つ細胞は二倍体細胞と呼ばれます。

染色体の複製

染色体のイメージとして、上のような画像を思い浮かべた人もいるかもしれません。

この画像は、染色体が複製された状態を表しています。
↑これがとても重要です。

先ほどの画像と見比べてみてください。1本1本の染色体がさらに2つに分かれています。
先ほどは「i字 」だったのが「X字」になっています。

染色体はDNAが合成された時点で、複製されています。1本1本の染色体はすべて複製されて、2本の染色体がセントロメア(Xの交差箇所)でくっついている状態になっています。この複製された2本の染色体は、姉妹染色分体と呼ばれます。

よって複製された状態においては、2つの姉妹染色分体がくっついて(X字の状態)、それが46個あるということです。
そしてX字の姉妹染色分体は相同染色体をもつので、X字は全部で23種類あります。

まとめ

まとめ
  • 両性の親が必要な生殖を有性生殖といい、1つの個体が親となる生殖を無性生殖という
  • ヒトの遺伝情報はDNAとして染色体に含まれている
  • 染色体は凝集時は「i字」であり、22本の常染色体が2セット(相同染色体)と、2本の性染色体で合わせて46本ある
  • 染色体は複製時は「X字」であり、複製によってそれぞれの染色体「i字」が「X字」になっている(姉妹染色分体)

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