突然変異とは?

遺伝学

突然変異の概要

突然変異とは、遺伝情報に何らかの変化が生じることです。

これは、DNAの複製時に何らかのエラーが生じ、親DNA鎖を正しくコピーできなかった時に起こる可能性があります。

また遺伝子の塩基がほかの塩基に置き換わったり新たに塩基が挿入されたりすることにより、生じる変異もあります。

突然変異は、その結果が疾患などの命を脅かすような変化をもたらすこともあれば、有益な変化をもたらし、進化のきっかけとなることもあります。

しかし通常はDNAの複製はエラーが生じないようなシステムがあるため、突然変異は生じません。

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このページでは、主に塩基の置き換えや新たな塩基の挿入がどのような影響を及ぼすのかを解説します。

突然変異の種類

突然変異は、1つの塩基が別の塩基に置換されることによる変異と、塩基が新たに挿入されたり欠失したりすることによる変異の2パターンに分けられます。

基本的には1つの塩基が別の塩基に置換されることによる変異はそこまで大きな影響を及ぼしませんが、塩基が新たに挿入されたり欠失したりすることによる変異は大きな影響を及ぼすことがあります。

点突然変異

1つの塩基が別の塩基に置換されることによる変異は点突然変異と呼ばれます。

例えばDNA鎖の塩基配列が「3´-CTC-5´」となっていたのが、「3´-CAC-5´」に変異することです。

この点突然変異が及ぼす影響は、主に3つのパターンに分けられています。

➀サイレント変異

サイレント変異は、塩基は置換を受けても、コドンが指定するアミノ酸が同じだった場合の変化を指します。この場合、タンパク質のアミノ酸配列は変化しません。

Point

サイレント変異はタンパク質のアミノ酸配列が変化しない

サイレント変異の例

例えばDNA鎖の塩基配列が「3´-CTC-5´」となっていたのが、「3´-CTT-5´」に変異したとします。

「3´-CTC-5´」のDNAによってできるmRNAは「5´-GAG-3´」なので、上のコドン表より、指定されるアミノ酸はGlu(グルタミン酸)であることが分かります。

3文字目の塩基に点突然変異が起こり、DNAが「3´-CTT-5´」に変わると、できるmRNAは「5´-GAA-3´」になります。コドン表を見ると、これが指定するアミノ酸もGlu(グルタミン酸)であることが分かります。

このように、点突然変異が生じても指定されるアミノ酸に変化がない場合をサイレント変異といいます。

これはコドンの重複により、3文字目が異なるコドンでも同じアミノ酸を指定する場合があるからです(ゆらぎ)。

サイレント変異は、アミノ酸が同じなため、伸長するポリペプチド鎖も同じものができます。
そのため遺伝子の機能に直接的な影響を与えることはありませんが、転写や翻訳の速度や効率に影響を与える場合があります。

②ミスセンス変異

ミスセンス変異は、ヌクレオチドの置換によってコドンが別のアミノ酸を指定するように変化する場合を指します。

Point

ミスセンス変異はタンパク質のアミノ酸配列が変化する

ミスセンス変異の例

例えばDNA鎖の塩基配列が「3´-CTC-5´」となっていたのが、「3´-CAC-5´」に変異したとします。

「3´-CTC-5´」のDNAによってできるmRNAは「5´-GAG-3´」なので、上のコドン表より、指定されるアミノ酸はGlu(グルタミン酸)であることが分かります。

2文字目の塩基に点突然変異が起こり、DNAが「3´-CAC-5´」に変わると、できるmRNAは「5´-GUG-3´」になります。コドン表を見ると、これが指定するアミノ酸はVal(バリン)であることが分かります。

このように、点突然変異が生じることで指定されるアミノ酸が変化する場合ミスセンス変異といいます。

ミスセンス変異の場合はアミノ酸配列が異なるので、できるポリペプチド鎖は異なってしまいますが、これが必ずしも大きな影響を及ぼすとは限りません

新たなアミノ酸の性質が本来のアミノ酸の性質と似ている場合や、ポリペプチド鎖がタンパク質として機能する際にそこまで重要ではない領域にミスセンス変異が起こった場合は、タンパク質が大きく変化しないこともあります。

とはいえ、もちろんタンパク質の構造や機能が変化することもあるので、疾患の発症リスクを増加させるなどの大きな影響をもたらすこともあります。

③ナンセンス変異

ナンセンス変異は、塩基の置換によってコドンが終止コドンに変化する場合を指します。終止コドンは、タンパク質合成の終了を示すため、ナンセンス変異によってタンパク質のアミノ酸配列が変化し、異常な短いタンパク質が生成されることがあります。

Point

ナンセンス変異はタンパク質の合成が途中で終了する!

ナンセンス変異の例

例えばDNA鎖の塩基配列が「3´-TTC-5´」となっていたのが、「3´-ATC-5´」に変異したとします。

「3´-TTC-5´」のDNAによってできるmRNAは「5´-AAG-3´」なので、上のコドン表より、指定されるアミノ酸はLys(リシン)であることが分かります。

1文字目の塩基に点突然変異が起こり、DNAが「3´-ATC-5´」に変わると、できるmRNAは「5´-UAG-3´」になります。コドン表を見ると、これは終止コドンであることがわかります。

これによってタンパク質の合成は突然ストップするため、翻訳が未完成なポリペプチド鎖ができてしまいます。これは正常な機能をもつタンパク質にはならず、様々な疾患の原因となることがあります。

塩基が新たに挿入されたり欠失したりすることによる変異

塩基が新たに挿入されたり、欠失したりすると大きな影響を及ぼすことが多いです。

1つの塩基が挿入されたり欠失したりすると、フレームシフト変異が生じます。

例えばDNA鎖に1つの塩基が新たに挿入されたとします。
塩基3つがセットとなり、コドンによってアミノ酸が指定されますから、挿入された部位以降のコドンはすべてずれることになります。これをフレームシフト変異とよびます。

1つの塩基が欠失する場合も同様です。

Point

フレームシフト変異は変異箇所以降のコドンがすべてずれる

このフレームシフト変異によって本来作られるはずのポリペプチド鎖とは異なるものができるのはもちろんですが、途中で終止コドンができる可能性もあります。
つまりナンセンス変異が起こる可能性もあるということです。

フレームシフト変異は、挿入(欠失)部位以降に生じるわけですから、DNA鎖の上流であればあるほど影響は大きくなります

また挿入(欠失)する塩基が1つではなく、3の倍数個であった場合はフレームシフト変異は起こりません。3の倍数の場合はコドンが新たに挿入(欠失)することになるからです。

まとめ

まとめ
  • DNAの塩基が他の塩基に置き換わったり、新たに挿入されたり欠失したりすることで変異が生じることがある
  • サイレント変異は合成されるタンパク質のアミノ配列に変化はない
  • ミスセンス変異は合成されるタンパク質のアミノ酸配列が変化する
  • ナンセンス変異は終止コドンの出現によりタンパク質の合成が途中で終了する
  • フレームシフト変異はコドンがずれるため、本来のアミノ酸配列と大きく異なる

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